東邦ガスエナジーエンジニアリング株式会社

属人化したExcelのブラックボックスを解き、現場を変える。
東邦ガスエナジーエンジニアリングと歩む業務改善PoC

    はじめに

    今回ご紹介する東邦ガスエナジーエンジニアリング株式会社には、調定管理業務の効率化に向けたPoC(概念実証)をご支援しました。長年の運用に伴い、複雑化・属人化してしまった業務プロセスを根本から見直し、劇的な時間短縮を実現したプロジェクトについて、現場の最前線で取り組まれたDHC管理グループの3名にお話を伺いました。

    東邦ガスエナジーエンジニアリング株式会社

    東邦ガスグループの総合エンジニアリング企業です。ガスや水素をはじめとするエネルギープラントの設計・建設から運用保守、さらには脱炭素化への取り組み支援まで、次世代のエネルギーインフラを技術面から総合的に支えています。

    同社のDHC管理グループは、東邦ガス直営の地域冷暖房10拠点を担当しています。プラント設備管理からお客さま対応まで事業運営全般の管理を幅広く担っており、設備の安定運用や安全管理といった「運転継続維持」と、熱料金の見直しや収支・販売量を正確に管理する調定管理などによる「資産効率の向上」という、事業の根幹を支える2つの重要な役割を担っています。

    Webサイト:https://www.tohogas-energyengineering.jp/

    人員減少と「過去の遺産」。限界を迎えていた調定管理業務

    ー まずは、今回の業務改善プロジェクトがスタートした背景について教えてください。

    大森さん:以前と比べて人員が減少し、かつてのピーク時から半分から4割ほどになっていました。人が集約されていく前提で、デジタルを活用して仕事の仕方を考え直さなければならないという発想からスタートしました。

    坪井さん:特に課題だったのが、ベテランのノウハウに依存していた業務の伝承です。テーマとして選んだ「調定管理」の業務は、属人化の解消、業務の平準化、そしてミスの防止という3つの観点で改善が急務でした。

    小林さん:私が前任から業務を引き継いだとき、代々の担当者が継ぎ足してきた30以上のExcelファイルが複雑に絡み合っていました。どのファイルがどうリンクしているのか、なぜこの処理をしているのかも分からない状態で、毎月ギリギリのスケジュールで対応に追われていたんです。正直、自分1人では無理だとギブアップを申告したほどでした。

    大森亮さん/ファシリティーマネジメント第一部長 

    外部の専門的視点を取り入れ、「業務の可視化」へ共に挑む

    ー そこで我々Flexas Zがお手伝いすることになったのですね。実際に支援が始まって、どのように進んでいきましたか?

    坪井さん:過去の遺産がつぎはぎになっていて、複数人で同じような項目を二重で入力しているような危ない状態でした。自社単独でプロセスを根本から見直すことは難しかったため、外部の専門的な視点を入れていただいたことで、ハッと気づかされることが多くありました。

    小林さん:まずは橋本さんに、複雑に繋がっているファイルの関連図を作っていただき、分析していただいたことが非常に大きかったです。作業の流れが可視化され、とても進めやすくなりました。

    橋本(Flexas Z):我々が全ての作業を行って、結果をお渡しするのではなく、前半は我々が主導しつつ、後半は小林さんご自身に確認いただいて、必要に応じて修正をしていただくように進めました。我々にだけノウハウがあり、お客様にノウハウが残らない状態にはしたくなかったからです。

    小林さん:最終的に、30以上あったファイルをシンプルな1つのファイルにまとめていただきました。ファイルの中身が解読できるようになり、こちらでも対応しやすくなりました。

    坪井貴弘さん/ファシリティーマネジメント第一部 DHC管理グループマネージャー

    現業との両立を支える。立ち止まらせない2週間サイクルの「伴走支援」

    ー 今回のプロジェクトでは、2週間ごとの「集中検討」と「持ち帰り作業」を繰り返すサイクルで進めました。このサポート体制はいかがでしたか?

    坪井さん: 正直なところ、日々の通常業務も抱えながらの進行だったので、2週間というサイクルが厳しく感じるタイミングもありました。

    小林さん: そうですね。期間中に私たちが持ち帰って進めるべき宿題が、業務の状況によっては思うように進まないこともありました。

    橋本(Flexas Z): お二人が本来の業務でお忙しいことは重々承知しておりました。だからこそ、タスクをお渡しして長期間空けるのではなく、2週間の細かなサイクルで状況を確認させていただく形をご提案しました。仮に進捗がない時でも状況を共有いただき、私たちがしっかりフォローや軌道修正を行いながら、一緒に「伴走」するためのペース設定だったんです。

    坪井さん: 確かに、定期的に現地へ訪問していただいたおかげで、進捗が滞りそうな時もその場で相談でき、プロジェクトを立ち止まらせることなく進めることができました。通常業務とのバランスを見ながら、上手くリードしていただけたと感じています。

    作業時間を91%削減。属人化からの脱却と、現場の意識変化

     ー 共にPoCを進めていく中で、どのような成果が得られましたか?

    大森さん:劇的な効果がありました。これまで7名がかりで毎月約12時間(年間144時間)かけていた作業が、今ではたった1名・30分(月1時間)で完結するようになりました。年間で132時間の削減(91%カット)となり、労務費の大幅な削減にも達成しています。

    坪井さん:ファイル構造を根本から見直して無駄を排除できたことで、新規地区が立ち上がった際にも、スムーズに対応できる基盤が整いました。次の世代が使いやすい形に改善できたと思います。

    小林さん:以前は意味も分からずに作業をしていましたが、今ではどのファイルで何を管理しているのか、細かい部分まで理解できるようになりました。予算管理など、ほかのExcel業務でも今回の知見が活きています。

    小林 生翔さん/ファシリティーマネジメント第一部

    今回の成功を「DXファーストステップ」に。AI活用も見据えた今後の展望

    ー 最後に、今後の展望やFlexas Zに期待することがあれば教えてください。

    大森さん:今回のPoCは、手軽かつ効果の高いDX推進の成功モデルとなりました。今後はこのアプローチを特定の業務だけでなく、他のグループや全社的な業務へと横展開していきたいです。まだアナログな対応や複雑な工程が残っているため、さらに深掘りしてシンプルな業務フローへと研ぎ澄ませていきたいと考えています。

    また、生成AIについても、まだまだ使いこなせていないと感じています。ゆくゆくは膨大なデータを分析してインサイトを得るような活用も目指していきたいですね。

    坪井さん:調定管理や予算の仕組み化については、引き続き継続的にご支援をお願いしたいと思っています。今回の教訓を活かし、今後もしっかりと引き継いでいける体制をつくっていきたいです。

     

    さいごに

    今回は、東邦ガスエナジーエンジニアリング株式会社 DHC管理グループの皆様にお話を伺いました。 長年の運用で「過去の遺産」としてブラックボックス化した業務も、第三者の視点で現状を可視化し、現場と一体となって清流化に取り組むことで、劇的な改善を生み出すことができます。今回のPoCの成功が、同社のさらなる業務効率化とDX推進の強力なファーストステップとなることを期待しております。